【梶野強化部長から、レヴィー・クルピ監督就任についての説明】
シーズンの途中になるのですが、今シーズン、タイトル獲得をテーマにスタートしたチームが、実際は14位という低迷した成績にいて、「なんとしてでもこのクラブをJ1に残さないといけない」ということから、今回のレヴィー・クルピにまた(監督を)やってもらうことになりました。
今、実際ここに本人がいるのですが、8カ月ぶりなのですけど、僕自身はなんだか一週間くらいしか経ってないような感じがします。本当にここから新たにスタートして残り11試合、とにかく勝ち点を積み重ね、J1に残るという目的でやっていきます。
【レヴィー・クルピ監督より挨拶】
ミナサン、コンニチハ(日本語)。本当にこの度こうして、クラブに帰ってくることができてうれしく思っています。この8カ月間ですけれども、どのチームにも所属することなくフリーという立場でいましたので、やはりこれだけの期間が経つと、いわゆる公式戦に感じていた「アドレナリンが出るような感覚」というのが非常に懐かしく思い出される時期になり、現役に復帰したいなという気持ちが出てきていたときなので、今回のオファーを快く受けさせてもらいました。
とは言っても私にとってこの時期にオファーが来るというのは本当にサプライズで、まったく予想してなかったことですし、今シーズンの途中でセレッソに復帰することがあるということは考えもしていませんでした。
ただし、この決断をするきっかけになった要因としては、やはりこれまで長い間、昨年までお世話になっていた中で、スポンサーの方々や、サポーターの皆さん、あるいは現場の選手・スタッフ、そういったすべての人たちとの人間関係が、非常に素晴らしいものであったということ、これが私の決断を後押しするものとなりました。12月までという契約ではあるのですけれども、セレッソは今、このチームで必ず逆境を乗り越えて、間違いなく順位を上げていけるチームだと思っています。状況的には非常にデリケートな、そして難しい局面にありますけれども、チームを勢いに乗せて、最後は順位をしっかりと上げてシーズンを終えられるという自信と手応えは持っていますので、必ずシーズンをいい形で終えられると思っています。
《質疑応答》
Q.改めて、なぜ再び監督就任を受けたのか、一番の理由を教えてください。
レヴィー・クルピ監督
ひとつ大きな要因として挙げられるのが、シーズンのこの時期にオファーをいただいた、そのタイミングというのがひとつあると思います。というのは、もし今この段階より早くオファーをいただいていたとしたら、それはちょっとチームを去ってからまだ時間が経っていないので早すぎじゃないかなと感じたと思います。
逆に今この時期にオファーをいただいて、あと3カ月のシーズンであるということ。そういう形での契約であれば、例えば来年ブラジルで仕事に就くことも可能であるというようなところ。フリーであったということもあって受けたというのが、ひとつ要因としてはあるかと思います。ただし、もっと大きな要因としては、やはり今まで気持ちよくセレッソで仕事をさせてもらってきたことですね。梶野強化部長であったり、社長であったり、あるいはヤンマーの方々であったり、本当にいろいろとお世話になった方々に非常に気持ちよく仕事をさせてきてもらっていたということ。
そして、また今、フリーの立場であったということで、これはもう私としては本当に大きな喜びを持ってこのオファーを受けさせてもらうことになりましたし、逆に皆さんにその喜びを恩返しという形でお返しできればと思っています。
Q.今シーズンの、ここまでのセレッソ大阪をどう分析していて、また現在14位というチームを立て直すポイントを教えてください。
レヴィー・クルピ監督
まず、今シーズンのセレッソに関してなんですけれども、(日本)代表あるいは移籍というところで一番大きな痛手を受けたチームがセレッソだったと。そういう部分は非常にこの成績に大きく影響しているのではないかと思っています。そういった代表、あるいは移籍というところに関わる選手が5人から8人はいて、彼らが試合に出られなかった期間があったことを考えると、これだけの打撃を受けたのは、日本の中ではセレッソが一番大きかったのではないかなと。それが成績に出ているのではないかなと思います。
逆にこれからチームを立て直していく上での鍵になるのはセレッソにとってこの選手が揃ったと言えること。これは、この段階で初めて言えるということだと思います。この、今いる選手たちは非常に能力の高い選手が揃っているので、こういった選手が揃って今からチームを作っていくという形になるのですけれど、必ず彼らと戦っていけばチームは上昇していけると思います。
Q.改めてどういったサッカーを見せていこうかと考えていらっしゃる部分と、現状のチームの中で、「この選手に期待している」という選手を教えてください。
レヴィー・クルピ監督
まず目指していくスタイル、戦い方に関してですが、とにかく勝利にこだわって戦うということです。具体的に言うと3試合やって3引分けで終わるよりは同じ勝ち点であっても1勝2敗の方が私はまだ目指すサッカーとして近いものがあると思うのです。
引き分け狙いで守りにいくというサッカーは決してしたくないですし、さらにセレッソのこれまでの伝統としても勝利にこだわったサッカー。そして見て楽しい、美しいというサッカーというものが築かれてきていると思うので、そのスタイル・伝統は決して失いたくないと思っています。
あと、期待する選手という部分で言うと、信じられないことにこれだけの選手が数多く移籍していっても、まだまだセレッソには若手の有望な選手が続々と出てきているという状況です。
これは本当に育成組織のスタッフの皆さんのおかげでもあるのですけれども、名前を挙げるとするならば、山口 螢、扇原貴宏、丸橋祐介、あるいは柿谷曜一朗、こういった選手には彼らより先に海外へ飛び出していった清武、シンジ(香川真司)、乾、そしてキム ボギョン。こういった選手たちの後を追いかけていってほしいなと思います。
Q.この時期に就任したということで、具体的な目標を教えてください。
レヴィー・クルピ監督
とにかく降格圏に近い順位からいち早く降格のリスクのある状況を脱出して、ひとつでも順位を上げていくということになります。今こういった順位にいるというのは、さきほども言いましたけれども、いろいろな要素が今シーズン関わってこういった順位にきてしまっている。これは決して誰の責任であるとは言えないと思っています。また、その降格圏からいち早く遠ざかる、順位を上げていくというのは簡単ではないと思っています。
今、直接的にはガンバさん、新潟さん、大宮さん、あるいは鹿島さんといったチームと降格圏を脱出するという戦いをすることになるのですけれども、一戦一戦、チームが一丸となって戦い続けることで、メンバーも揃ってきたこともありますし、必ず脱出できると、降格圏から遠く離れた上の順位に間違いなくいけると思います。ひと言で言えば「ベストを尽くします」ということに最後はなると思います。
Q.クラブ側の方への質問になりますが、契約期間は12月2日までですが、天皇杯を勝ち上がった場合はどうされるのか、どう考えているのかを教えてください。
梶野強化部長
12月に行われる天皇杯については、それまでに考えます。
Q.監督は中国やブラジルなど他のクラブからもオファーを受けられていると報道されていたのですが、今回の就任というのはセレッソ以外では有り得なかったことなのか、セレッソだから受けられたのかということについて教えてください。
レヴィー・クルピ監督
オファーに関しては正直、今年は執筆中の本を書くことだけに専念しようと思っていました。今年残り3カ月ちょっとになるのですけれども、確かに他のオファーがあったということも事実ですけれども、まさかセレッソに戻るとは、正直まったく予想もしていませんでした。
12月初めまでの契約ということになりますけれども、それから先のことというのは、先ほどの梶野強化部長が話したように、誰にもわからないということになります。逆に言うと「何が起こるかわからない」というところが人生の楽しい部分でもあると思っているので、これから仕事をしていくなかで、どういった形になるのかというのが見えてくるのではないかなと思います。
Q.柿谷選手が徳島ヴォルティスに出されて成長して帰ってきているかと思うのですが、今チームで中心選手のひとりとなった彼に期待すること、成長をどのように捉えられているかを教えてください。
レヴィー・クルピ監督
私が思っているのは、彼が若くしてトップチームに上がったということで、必要以上にメディアの露出といったところも含めてコントロールできなかった問題があったのではなかったかと思います。それはもう彼は非常に若かったので致し方ない部分もあると思うのですが、今、私は本当に彼がひと皮むけたなというところを、いろんな話を聞いていますので、非常に楽しみにしています。いつか彼とこういった形で仕事ができる日が来ることを心のなかでは楽しみにしていましたし、逆に彼にはまだまだ選手としての時間が残っているので、乾、清武、ボギョン、そしてシンジが辿った道を彼にもぜひ、これから歩んでいってもらいたいなと思っています。
Q.梶野強化部長にお伺いしたいのですが、セルジオ・ソアレス前監督は横浜戦後に解任ということを通達されたとの話だったのですが、具体的に解任を決断した時期と、決断した大きな理由を教えてください。
梶野強化部長
時期的には2週間くらい前ですね。その理由というのは、実際に低迷していて、「とにかくJ1に残すために何をすべきか」、ということを考えて決断しました。
Q.監督に戻るにあたって、自分の中でなにか考えていたことはありましたか?
レヴィー・クルピ監督
まず短い期間でしたけれども、最近の試合のビデオを見て分析を始めました。選手たちは、ほとんど知っている選手が多いのですけれども、さらに今日、こちらに来てからスタッフとあらためていろんなインフォメーションの交換をしました。また、ここから先は選手たちとよりコミュニケーションを取っていこうと思っています。
この状況を打開していくためにもチーム一丸となって、そしてセレッソらしい勝利にこだわるというスタイルのサッカーを突き詰めていきたいと思います。本当に思いがけないこの3カ月間という契約の話を引き受けたわけなのですが、先ほど言った自分ではほぼ書き終わったと思っていた本の執筆は、まだ時間もあるので、例えばマスコミの方が僕の悪口をこれから書かれたとしたら、それも本に書かせていただこうかなと、そういう心の準備もしていますので、楽しみにしています(笑)。